Seeed K.K.の松岡です。
NVIDIA Jetson Nano/Jetson Xavier NXモジュールを搭載した、reComputer Jetsonシリーズの販売を開始しました。
手元に全機種届きましたので紹介します。
組み込みをやっていてAIに興味のある方は、一度はNVIDIA Jetsonを動かしてみたことがあるのではないでしょうか。
NVIDIA Jetsonは、"謎のAI半導体メーカー"、NVIDIAが組み込み用途向けに提供している製品です。Jetson NanoやJetson TX2、Jetson Xavier NX、Jetson AGX Xavierなど、年々、処理能力向上とともに継続してラインナップが追加されています。
もの凄い性能なのですが、価格の方もまぁまぁ凄いです。個人で手を出すには勇気(お金)がいるのですが、教育、学生、愛好家向けにNVIDIA Jetson Nano開発キットという製品があり、これなら1万円程度でNVIDIA Jetsonの世界を体験することができます。
しかし、ここ最近はJetson Nano開発キットが入手できない状況です。どこの販売店にも在庫が無く、入荷の見込みも無いようです。
この状況を打開すべく!かどうかは定かではありませんが、SeeedでNVIDIA Jetson Nano/Jetson Xavier NXモジュールを搭載したreComputer Jetsonシリーズの製造、販売を開始しました。
reComputer Jetsonシリーズ
reComputer Jetsonシリーズは、ざっくりと言うと、NVIDIAが提供するNVIDIA Jetson Nano/Jetson Xavier NXモジュールをキャリアボードに載せて、アルミケースに入れたパック製品です。
- NVIDIA Jetsonモジュール
- キャリアボード
- アルミケース
NVIDIA Jetsonモジュールは、Jetson NanoとJetson Xavier NX 8GB、Jetson Xavier NX 16GBの3種類。キャリアボードはJetson-10-1-AとJetson A206の2種類です。アルミケースは1種類ですが、サイドパネルの穴位置がキャリアボードによって違います。
実際の製品に使用しているNVIDIA Jetsonモジュールとキャリアボードについて整理したものが下表です。
reComputer J1020はハードウェア仕様に12V/2Aと書かれていますが、19Vを接続しても大丈夫です。
NVIDIA Jetsonモジュール
各製品に搭載しているNVIDIA Jetsonモジュールを取り出して確認しました。左から、J1010、J1020、J2011、J2012に搭載のものです。
Jetson Nanoモジュールには冷却ファンがありません。ちょっと不安。
J1010とJ1020のモジュールは、同一のものでした。
他方、Jetson Xavier NXモジュールには冷却ファンが付いています。
J2011とJ2012のモジュールは、パッと見は同じですがシールに書かれている番号に違いがありました。900-83668-0000-000と900-83668-0030-000です。RAM容量違いのようです。
キャリアボード
キャリアボードも取り外して確認しました。
左がJ1010のJetson-10-1-Aキャリアボード、右がJ1020のJetson A206キャリアボードです。
Jetson A206キャリアボードのほうが高機能のようです。
M.2コネクタが2つで、基板裏のコイン電池ホルダーも実装されています。また、USBも全てUSB 3.0です。
電源がDCジャックになっていて、安心感があります。
ただし!
Jetson A206キャリアボードでも、載せるNVIDIA Jetsonモジュールによって機能しない部分があるので注意しましょう。
必要な周辺機器
reComputer Jetsonシリーズは動かすのに追加で周辺機器が必要です。
パソコンとほぼ同様で、ディスプレイとキーボード、マウスを追加して使用します。わたしは、ディスプレイをHDMI、キーボードとマウスをUSBに接続して使っています。
そして、電源供給のためにACアダプターが必要です。
Jetson-10-1-Aキャリアボード(J1010)へはUSB-Type Cコネクタから電源を供給します。J1010のハードウェア仕様によると5V, 3Aのものが必要です。手元にあるテックシェア製TSI-PI046-5V4AでJ1010をしばらく動かしてみましたが、とくに問題なく動作しました。
Jetson A206キャリアボード(J1020, J2011, J2012)の場合は、2.1mm/5.5mmのDCジャックから電源を供給します。キャリアボードは9Vから19Vのものを接続可能です。J2012のハードウェア仕様によると19V, 4.74Aのものが必要ですが、見合うものが手元にありませんでした。同僚に探してもらったところ、千石電商で販売しているAdapter Technology製ATS090T-P190が見つかったので購入してJ1020で試しました。とくに問題なさそうです。なお、ATS090T-P190を購入する際は、ACコードが同封されていないのでご注意ください。
2022/5/30追記:
動作未確認ですが、2.1mm/5.5mm, 12V, 5AのACアダプターでも十分のようです。
開発用途ならストレージの追加を
もう1点、ストレージも追加しておくと安心して使用できます。
reComputer Jetsonシリーズの開封直後のストレージ空き容量は約2GBだけでして、、、
$ df -k Filesystem 1K-blocks Used Available Use% Mounted on /dev/mmcblk0p1 14384136 11158316 2475436 82% / none 1783596 0 1783596 0% /dev tmpfs 2028980 40 2028940 1% /dev/shm tmpfs 2028980 30036 1998944 2% /run tmpfs 5120 4 5116 1% /run/lock tmpfs 2028980 0 2028980 0% /sys/fs/cgroup tmpfs 405796 4 405792 1% /run/user/0 tmpfs 405796 140 405656 1% /run/user/1000
開発ツールをあれこれ追加すると、すぐにストレージが足りなくなってしまうんです!!
NVIDIA Jetson Nano開発キットはmicro SDなので好きなように大容量のmicro SDを取り付けることができましたが、reComputer Jetsonシリーズは16GB eMMCです。ささっと増設することができません。
ではどうするのか?
Jetson-10-1-Aキャリアボード(J1010)はUSB接続SSDを、Jetson A206キャリアボード(J1020, J2011, J2012)はM.2接続SSDを増設するのがオススメです。
ストレージ増設については別記事を書く予定です。
USB接続SSDの電源容量が不足したため、途中にUSB HUBを追加しています。
まとめ
- reComputer JetsonシリーズはNVIDIA Jetsonモジュールとキャリアボード、アルミケースがセットになった製品です。
- 4機種あります。モジュール種類とRAM容量、キャリアボードに違いがあります。
- ACアダプターの入手を忘れずに。キャリアボードによって接続コネクタが違います。USB-Type C or 2.1mm/5mm DCジャック。
- ストレージの空きが約2GBしかありません。開発用途で使うなら、USBもしくはM.2で増設したほうが良いです。
変更履歴
日付 | 変更者 | 変更内容 |
---|---|---|
2022/5/24 | 松岡 | 作成 |
2022/5/30 | 松岡 | ACアダプターの情報にコメントを追記。 |