BeagleBone Greenのセットアップが簡素化された

こんにちは。Seeed K.K.の中井です。

BeagleBone Blackをベースに設計され、センサーやアクチュエータなどを手軽に接続できるGroveコネクタが標準搭載したSeeedStudio BeagleBone Greenですが、最新のDebianイメージを使うことでWindows 10へのデバイスドライバのインストールを省くことができるようになっていました。

この記事では、新旧のDebianイメージを使ってWindows 10上でどのようにデバイスとして認識されるのかを検証してみたいと思います。

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BeagleBone用Debianイメージ

今回検証で使用するDebianイメージは、最新版と手元のBeagleBone Greenにプリインストールされていた旧版を使います。 Debianイメージはbeagleboard.org/latest-imagesからダウンロードすることができます。

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Windows 10に接続してみる

真っさらに近いWindows 10を用意して、さっそく接続してみました。

  • 旧版イメージで起動した場合

USBシリアルデバイスとして認識するものの、RNDISはドライバがみつからない状態となりました。

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  • 最新版イメージで起動した場合

旧版と同様にUSBシリアルデバイスとして認識し、RNDISもRemote NDIS Compatible Deviceとして認識しました。CDC ECMデバイスとしても認識していますが、LinuxやmacOS向けのデバイスのようなのでドライバが見つからなくても問題ありません。

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ipconfigで設定された内容を確認してみると、IPアドレスは「192.168.7.1」となっていて、BeagleBone GreenのDHCPサーバ(192.168.7.1)によって割り当てられていることがわかります。

イーサネット アダプター イーサネット 3:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .:
   説明. . . . . . . . . . . . . . . . .: Remote NDIS Compatible Device
   物理アドレス. . . . . . . . . . . . .: 98-84-E3-A4-62-DF
   DHCP 有効 . . . . . . . . . . . . . .: はい
   自動構成有効. . . . . . . . . . . . .: はい
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::a92e:321:b4a3:f3d8%6(優先)
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.7.1(優先)
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   リース取得. . . . . . . . . . . . . .: 2021年2月10日 15:20:37
   リースの有効期限. . . . . . . . . . .: 2021年2月10日 15:28:14
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .:
   DHCP サーバー . . . . . . . . . . . .: 192.168.7.2
   DHCPv6 IAID . . . . . . . . . . . . .: 110658787
   DHCPv6 クライアント DUID. . . . . . .: 00-01-00-01-26-4A-59-DC-54-53-ED-AC-5A-F0
   DNS サーバー. . . . . . . . . . . . .: fec0:0:0:ffff::1%1
                                          fec0:0:0:ffff::2%1
                                          fec0:0:0:ffff::3%1
   NetBIOS over TCP/IP . . . . . . . . .: 有効

もちろんSSHなどで接続ができます。

PS C:\Users\mnakai> ssh debian@192.168.7.2
Debian GNU/Linux 10

BeagleBoard.org Debian Buster IoT Image 2020-04-06

Support: http://elinux.org/Beagleboard:BeagleBoneBlack_Debian

default username:password is [debian:temppwd]

debian@192.168.7.2's password:

The programs included with the Debian GNU/Linux system are free software;
the exact distribution terms for each program are described in the
individual files in /usr/share/doc/*/copyright.

Debian GNU/Linux comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY, to the extent
permitted by applicable law.
Last login: Mon Apr  6 13:46:46 2020 from 192.168.7.1

最新のDebianイメージにアップデートする

最新のDebianイメージを使うことで余計にデバイスドライバをインストールしなくても使用できるようになっていました。 BeagleBone Greenを使用される予定がありましたら、まずはじめにアップデートすることをお勧めします。

1. beagleboard.org/latest-imagesから最新のイメージをダウンロード

BeagleBone Greenにも対応している「Buster IoT (without graphical desktop) for BeagleBone and PocketBeagle via microSD card」を選択。

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2. ダウンロードしたイメージをマイクロSDに書き込み

beagleboard.orgで説明されている「balenaEtcher」をダウンロードしてインストール。 Etcherでダウンロードしたイメージファイルとアップデート用のマイクロSDを選択して実行("Flash!")。

3. マイクロSDに書き込んだ最新のイメージで起動

アップデート用のマイクロSDをPCから取り出し、BeagleBone Greenに挿入してUSER/BOOTボタンを押しながら電源を投入。マイクロSDに展開されたイメージで起動します。 この状態ではまだ新しいイメージがeMMCに書き込まれていない状態となっています。

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4. eMMCをアップデート

eMMCを最新イメージにアップデートするには、ログインして次のように設定を書き換え、再起動する必要があります。

root@beaglebone:~# nano /boot/uEnv.txt
--- /boot/uEnv.txt.orig 2020-04-06 13:45:31.104000135 +0000
+++ /boot/uEnv.txt      2020-04-06 13:46:03.864000139 +0000
@@ -59,5 +59,5 @@

 ##enable Generic eMMC Flasher:
 ##make sure, these tools are installed: dosfstools rsync
-#cmdline=init=/opt/scripts/tools/eMMC/init-eMMC-flasher-v3.sh
+cmdline=init=/opt/scripts/tools/eMMC/init-eMMC-flasher-v3.sh

再起動する場合にはhaltコマンドなどで停止させた後、先ほどと同様にUSER/BOOTボタンを押しながら電源を投入します。 正しくeMMCのアップデートが始まると、4つのLEDがスライドするような点滅になります。

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eMMCのアップデートが完了すると4つのLEDはすべて消灯します。マイクロSDを取り外してアップデート完了です。

変更履歴

日付 変更者 変更内容
2021/2/10 mnakai 作成