SenseCAPとLoRaWAN、どれを買えばいいのか

Seeed K.K.の松岡です。
SenseCAP製品、ぼちぼちと日本で買えるようになりましたね。SenseCAP製品は数年前(2019年頃?)から生産していて、現在までに何度かモデルチェンジしたりサービスをアップデートして継続提供しています。わたしが言うのもなんですが、ネットで検索するとドバっといろんな情報が出てきてわけがわかりません。マジで辛い。

そこで今回は、SenseCAPとLoRaWAN、まずはどれを買えばいいのかを紹介します。

SenseCAP

SenseCAPはLoRaWAN通信を用いたIIoT(産業用IoT)製品シリーズで、工場や農場などのデータ収集をすぐに始めることを可能にします。具体的には、温湿度センサーや照度センサー、トラッカー(位置測位)といったデバイスと、ゲートウェイ、スマートフォンアプリ、クラウドサービスを提供しています。

たいていのSenseCAP Deviceは下図のような形をしています。センサーとLoRaWAN通信、バッテリーが一体になっていて、がっちりとしたケースで覆われています。スマートフォンアプリから設定できるようBluetooth通信機能も持っています。

SenseCAP Gatewayは、SenseCAP DeviceからのLoRaWAN通信を受けてインターネットへ転送する装置です。SenseCAP DeviceからのLoRaWAN受信をインターネット上のクラウドサービスへ送信したり、クラウドサービスからの受信をSenseCAP DeviceへLoRaWAN送信します。

SenseCAP Deviceの初期設定や収集したデータを簡易的に閲覧できるように、SenseCAP Mate Appというスマートフォンアプリを提供しています。

そして、これらをすぐに現場で利活用していただけるよう、クラウドサービスSenseCAP Cloudも用意されています。つまり、いままでのSeeed製品のようなハードウェア単品だけでなく、産業用IoTソリューションを提供しています。

「産業用IoTソリューション」
「産業用IoTソリューション」
「産業用IoTソリューション」😎

SenseCAP と LoRaWAN

ここからが少しややこしくなります。😅

このSenseCAP DeviceとSenseCAP Gateway、通信はLoRaWAN仕様に適合しています。というか、LoRaWANプロトコルです。SenseCAP Mate AppでSenseCAP Gatewayを設定すると、The Things NetworkかHeliumを経由して背後にあるSenseCAP Cloudと通信するよう設定されます。下図の薄緑の経路です。ズバリ、Seeedが提供するSenseCAP Cloudに縛られちゃいます。(が、、SenseCAP Cloudもデータ連携できるようにAPIが用意されているのでご安心を。by中井)

「縛られるのはイヤだなぁ...」という方のために、SenseCAP Device/Gatewayを一般的なLoRaWAN Device/Gatewayとしてセットアップすることも可能にしています。それが下図の濃緑の経路です。例えば、SenseCAP Mate AppでSenseCAP Deviceを The Things Networkと設定すると素のLoRaWANデバイスとしてThe Things Networkに繋がります。あとはThe Things Networkで好きなように外部クラウドとインテグレーションできます。

1点だけ、下図で注意が必要なのがLoRaWAN Device - SenseCAP Gateway - SenseCAP Cloudの経路です。残念ながら、この経路は利用できません。SenseCAP Cloudを利用できるのは、GatewayとDeviceの全てがSenseCAP Cloudとして設定されなければいけないからです。

まとめると、

  • SenseCAP Cloudを利用する ... Device/Gatewayとも、全てSeeed製SenseCAP製品シリーズを使う必要がある。設定もSenseCAP。
  • SenseCAP Cloudを利用しない ... Device/Gatewayとも、SenseCAP製品シリーズでも出来る。(もちろん、一般的なLoRaWAN製品でも可能。)

です。

SenseCAP製品シリーズを買っておけば安心ですね。😄

余談ですが、Amazon SidewalkはLoRaWAN仕様とは別物なので... Amazon Sidewalkはまたの機会に。(日本で使ってOKなのかな?ちょっとわからない。)

推しのSenseCAP Gateway

ズバリ、SenseCAP M2 Gatewayです。自由度高いし、価格が安いです。

推しのSenseCAP Device

SenseCAP S210x/A1101/T1000とSenseCAP S2100、Wio Tracker 1110です。

SenseCAP S210x/A1101/T1000は買って即使うことができるReady for Use製品です。

SenseCAP S2100は市販センサー(Modbusとか)から値を取得して送信する製品です。オプションでSenseCAP S2110があります。これを追加するとSeeed製Groveモジュールから値を取得することができます。

Wio Tracker 1110は開発者向けの製品です。Arduino IDEでLoRaWANデバイスを開発できます。製品名にSenseCAPと付いていませんが、SenseCAP Deviceとして使用することも可能です。

まとめ

エンドユーザーの方は、Ready for UseなSenseCAP 210x/A1101/T1000とSenseCAP M2 Gatewayで、SenseCAP Cloudを使うのがオススメです。運用コストとしてSenseCAP Cloudの利用料がかかりますが、すぐに始められるところが良いです。

LoRaWANを詳しく知りたい開発者の方は、Wio Tracker 1110とSenseCAP M2 Gatewayで、The Things Networkで始めるのが良いでしょう。Wio Tracker 1110はWM1110(nRF52840+LR1110)を搭載していて、屋外/屋内位置測位や省電力の開発が可能です。

変更履歴

日付 変更者 変更内容
2024/1/26 松岡 作成
2024/1/29 松岡 画像の背景色を白色に変更