Seeed K.K.の松岡です。
Wio Terminalの中には、メインMCUのATSAMD51P19とWi-Fi/BLE通信用MCUのRTL8720DNが入っています。
先日、このWi-Fi/BLE通信用MCUのファームウェア「RTL8720ファームウェア」を新しくリリースしたので、簡単に紹介します。
Wio TerminalでWi-Fi/BLE通信をしたいときは、あらかじめWi-Fi/BLE通信用MCUに専用のファームウェアRTL8720ファームウェアを書き込みしておき、(メインMCUで動かす)アプリケーションで適切なWi-Fi/BLEライブラリを使う必要があります。
Wio Terminal販売開始時にリリースしたRTL8720ファームウェアは社内で「ATコマンドファームウェア」と呼ばれるもので、Wi-Fi通信しか提供していませんでした。(BLE通信はできなかった。)また、パフォーマンスが良くないという報告をいくつか受けていました。
そこで、メインMCUとWi-Fi/BLE通信MCUの間の通信手順を見直して、7月30日に「ATコマンドファームウェア(通信改善版)」をリリースしました。このリリースでパフォーマンスは改善されましたが、BLE通信は盛り込まれませんでした。
BLE通信を出来るようにするために、既存のRTL8720ファームウェアの機能追加ではなく、新たにファームウェアを開発、リリースしました。これは「eRPCファームウェア」と名付けられました。
Wi-Fiを使いたいときは「ATコマンドファームウェア(通信改善版)」で、BLEを使いたいときは「eRPCファームウェア」と、同時に動かすことができず、また切り替えに手間がかかっていましたが、「eRPCファームウェア」にWi-Fi機能を追加したものを先日リリースしました。
と、、、なにかと苦労の多いWio TerminalのWi-Fi/BLEですが、ファームウェアを列挙するとこのように変化してきました。
RTL8720ファームウェア:
- ATコマンドファームウェア ... Wi-Fiのみ
- ATコマンドファームウェア(通信改善版) ... Wi-Fiのみ
- eRPCファームウェア ... BLEのみ
- eRPCファームウェアNew ... Wi-Fi + BLE
4.のeRPCファームウェアNewは、日本版があるので間違えないようにご注意を!!(リンク)
いまから「Wio TerminalでWi-Fi/BLEをやってみよう!」という方は、4.のeRPCファームウェアNewをお使いください。やり方はSalmanが丁寧に書いています。
すでに開発した・しているアプリケーションがある場合は、1.2.と3.4.で大きく作りが違うので、
2. -> 4. (ちょっと頑張る必要あり) 3. -> 4. (簡単)
という流れでアップグレードすることをオススメします。
公式ドキュメントはwikiにあります。
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変更履歴
日付 | 変更者 | 変更内容 |
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2020/11/11 | 松岡 | 作成 |