キーを自由に配置できるキーボードDUMANGをMacで使ってみる

最近話題になっている、キーを自由に配置できるキーボードのDUMANGを深圳に出張中にホレホレされまくったので買ってしまったSeeedの坪井です。 DUMANGは、Seeed本社と同じ深圳にある超酷(スーパークール)という会社の製品です。「超」がスーパーなのは連想できると思いますが、「酷」という漢字から日本人は「クール」だと連想できませんよね。「酷」は中国語で「kù」と発音することから、音訳でクール(かっこいい)を意味するそうです。

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キーボードについて説明してくださるプロマネの李さん

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このキーボード、キーがベースの板の上にマグネットでくっつき、各キーの底面に付いているスプリングピンがベースの板と接触することで通信をするという仕組みです。キースイッチを取り付けていない状態の各キーのベース部分を分解したものを見せていただいたので、この写真を見れば仕組みは一目瞭然です。

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基板を見ての通り、各キーにはマイコンが搭載されています。これがベース基板のマイコンと何らかのプロトコルで通信をしているのでしょう。また、ベース基板の方のマイコンはUSBで接続したパソコンからはHIDクラスのUSBデバイスをとして見えます。一般的なキーボードと同じHIDクラスのデバイスとして動作するので、パソコン側のOSは問いません。僕が使っているmacOSでも、シングルボードコンピューターで実行しているであろうLinuxでも、DUMANGのキーボードはそのまま一般的なキーボードとして認識されて設定したキー割り当て通り動作してくれそうです。しかも、マクロ機能がありますので例えばCtrl-Cといったキーの同時押しのような動作を一つのキーで実現することができます。(実際にやってみたところ、Ctrl-Cの操作を記録すると「Ctrlキーを押して10ms後にCキーを押し、また10ms後にCキーを離し、10ms後にCtrlキーを離す」という操作で記録されました。)

僕はCAD (EAGLE)を操作するためにショートカットキーを操作できるCAD専用のキーボードを作ろうと思っていたのですが、李さんの説明を聞いているうちにDUMANGのキーボードを使えばキーボードを自作することなく手軽に自分がやりたいことが実現できるのではないかと思いました。そこで、個人的にもとりあえず一台買ってみることにしました。

さて、冒頭の写真の李さんのパソコンを見るとMacBookですね。僕もMacユーザーです。ですのでDUMANGのキーボードをセットアップするユーティリティにはmacOS版もあることを期待しました。しかしながら、李さんによるとWindows版のアプリケーションしか提供していないそうです。そう言われてよく見ると、李さんはParallelsを使ってMacBookでWindowsを実行していました。

MacでDUMANGを使ってみる

帰国後の週末、早速DUMANGのセットアップをしようと僕のMacにインストールしてあるVMware FusionでWindowsを起動しました。そしてDUMANGのキーボードをMacのUSB端子に繋ぎ、Windowsの仮想マシンに(ソフト的に)直接繋ごうとしたところで、問題発覚です。VMware Fusionの仮想マシンへのUSB接続を管理するところに、DUMANGのキーボードが出てこないのです。

よく考えてみると、HIDクラスのデバイスですのでFusionの設定を誤るとキーボードがゲストOSに直接接続されてしまい、他のキーボードを繋ぐまでキー操作ができなくなるといった問題が発生し得ますよね。そういった事故を起こさないためにも、安全のためにこういう実装になっているものと思われます。そこでGoogleで検索してみると、下記のようなページが見つかりました。 kb.vmware.com

これに従い、.vmxファイルに

usb.generic.allowHID = "TRUE"
usb.generic.allowLastHID = "TRUE"

と追記するのみです。こうして、Windows環境は仮想マシンでしか持っていない僕でもDUMANGのキーボードを使えるようになりました。

余談

余談ですが、社名の超酷はさておき、DUMANGってなんだろうって思いませんか?DUMANGは「毒蟒」のピンインなのですが、「蟒」は大蛇のことだそうです。つまり大きな毒蛇ですね。李さんに聞き忘れたのですが、Seeed本社の社員に「なんでDumangなんだろう?」って聞いたところ、「すごくカッコイイ名前だ」ということでした。きっと、ブランド名にカッコイイ響きの名前を持ってきたのでしょう。

余談その2

このキーボード、TaoBaoという中国のECサイトで販売していて、海外発送をしていません。しかしながら、あまりにもイケてるキーボードなので中国語通訳として同行してくれたSeeed本社の社員と一緒に社内wechatで自慢していたところ、キーボード大好きな調達担当の社員がその日に飛んできて買い付けの話しを進めていました。あれよあれよという間に仕入れ販売の話しがつき、Seeed Bazaarに掲載されました。

www.seeedstudio.com

www.seeedstudio.com

面白そうだなーと思った方はぜひ買ってあげてください。この記事を書いている現在のところプレオーダーステータスですが、超酷さんのDUMANGチームは3人のみで組み立てと出荷もこの限られたリソースの中でしているそうですので、なかなか供給は潤沢にはいかなさそうです。しかしながら、日本国内のSeeed製品販売店さんにも取り扱いの意向を聞いてみるそうですので、日本で気軽に買えるように流通する日もそんなに遠くはないかもしれません。

変更履歴

日付 変更者 変更内容
2019/11/15 ytsuboi 作成