Wio 3GやWio LTE M1/NB1(BG96)のデバッグができるArduino Pro IDE

執筆時点ではベータ版 (バージョン0.0.6) がリリースされているArduino Pro IDEですが、気になる機能を搭載しているので早速使ってみました。

追記
  • バージョン0.1.0ではデバッグ不可
  • バージョン0.1.2ではデバッグ可能 (SeeedJP STM32 Boards by Seeed K.K.: 1.5.0)
  • バージョン0.1.3ではlaunch.jsonを設定する事でデバッグ可能 (SeeedJP STM32 Boards by Seeed K.K.: 1.5.0)

Arduino Pro IDEの新機能

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デバッグができるようになることも嬉しいことですが、入力途中の内容を自動的に補完してくれるオートコンプリート機能や、Go to Definitionなどの機能も備わっているのです!(非常に助かる!いちいちヘッダーファイルを開いて派生元をたどって、、という作業から解放されます!!)

そんなArduino Pro IDEですが、Wioのデバッグに対応させるためにはボードパッケージをいくつか修正する必要がありましたが、 この修正を取り込んだ SeeedJP STM32 Boards Version 1.4.0がリリースされたので、さっそく設定方法などをご紹介します。

注意

Arduino Pro IDEは現時点ではベータ版となっていますので、利用する場合には下記の通り注意が必要です。

  • This early release is for beta testers and not yet recommended for production use.

※コーディングはArduino Pro IDEで、最終的なイメージをArduino IDEで作成するといったようにすることもできますね

Arduino Pro IDEのダウンロード

まずはArduino Pro IDEをインストールするところからです。現時点ではアーカイブファイルをダウンロードし任意の場所に展開することでインストールができます。

未確定ですが、もしかするとArduino IDEがインストールされている必要があるかもしれません。(私の環境にはすでにArduino IDEがインストールされているので)

下記から必要なアーカイブを選択してダウンロードします。

github.com

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※Windows10とmacOSで本記事の動作確認ができています

ボードパッケージのインストール

Wio 3GおよびWio LTE M1/NB1(BG96)が収録されているボードパッケージをインストールするために、ボードマネージャのURL設定を行います。Arduino IDEで追加のURLを設定している場合でも、改めて実施する必要があります。

メニューからFile > Settings > Open CLI Configurationを選択し、board_manager: additional_urls: に下記のURLを設定します。

http://www.seeed.co.jp/package_SeeedJP_index.json

board_manager:
  additional_urls: [http://www.seeed.co.jp/package_SeeedJP_index.json]

指定したURLから読み込みが完了するとボードパッケージをインストールできるようになります。 メニューからTools > Boards Manager...を選択し、"SeeedJP STM32"と入力して絞り込み、 SeeedJP STM32 Boards by Seeed K.K.1.4.0 (またはそれ以降)をINSTALLします。

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このウィンドウが消えるとボードパッケージのインストールが完了です。

同様にライブラリもインストールしておきます。 メニューからTools > Manage Libraries...を選択し、"Wio cell"と入力して絞り込み、 Wio cell lib for Arduino by Seeed K.K.1.7.0 (またはそれ以降)をINSTALLします。

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スケッチの準備とビルド、アップロード

続いてスケッチを用意してビルドとなるのですが、現在のバージョンではサンプルスケッチを開く機能がないようです。(見当たりません)

そこで、File > New Sketchを選択して新規作成し、手動でコピペしてあげます。 New Sketchすると新しいウィンドウが開きます。Explorerからsketch_***.inoを選択すると編集ができます。

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この記事では、先ほどインストールしたライブラリ Wio cell lib for Arduino に収録されている LedSetRGB をコピペします。 他のサンプルを使いたい場合でも基本的には同じです。

Windows10の場合

Arduinoのライブラリは下記のパスにインストールされています。

C:\Users\[USER]\Documents\Arduino\libraries\

LedSetRGBのスケッチは下記となるので、任意のエディタで開いてコピペします。

C:\Users\[USER]\Documents\Arduino\libraries\Wio_cell_lib_for_Arduino\examples\basic\LedSetRGB\LedSetRGB.ino

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ビルドするために、ターゲットボードとシリアルポートを選択します。Wio 3GまたはWio LTE M1/NB1(BG96)をPCに接続しておきます

no board selectedのプルダウンリストからSelect Other Board & Portを選択し、接続したWioWioが接続されているシリアルポートを指定します。

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Seeed Wio 3Gまたは Wio LTE M1/NB1(BG96)を選択すると、ウィンドウ右下に次のようにポップアップされる場合があります。"Install Manually"を選択するか、×をクリックしてポップアップを閉じて構いません f:id:mnakai:20200528184833j:plain

矢印のアイコンをクリックしてビルドとアップロードを実行します。

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LEDがカラフルな点灯をすれば成功です。

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デバッグ

上記でビルドしアップロードした状態ではデバッグ情報が埋め込まれたバイナリとなっていないため、デバッグすることができません。 デバッグ情報を埋め込むようにするためには、メニューの Tools > Debug > DebugON を選択してビルドしなおします。

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DebugONしてからビルドとアップロードを行うといよいよデバッグが可能となります。 スケッチの行番号の左あたりにカーソルをやるとブレークポイントを設定することができます。

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任意の場所にブレークポイントを設定し、デバッグを開始します。

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デバッグを開始しても下記のエラーが出て失敗することがあります。この場合は再度開始してみてください。 f:id:mnakai:20200528195424j:plain

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ブレークすれば成功です。 F10:Step OverF11:Step Intoなどでデバッグすることができます!

Tips. オートコンプリート

Arduino Pro IDEでは、プログラミング時に自動的に入力候補を表示してくれます。クラスメンバがわからない時などに非常に役立ちます。

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Tips. Go to Definition

まだ未完成な感じの印象を受けますが、Go to Definitionなどが利用できます。対象のコードから直接ジャンプし、定義などを表示できるので開発効率があがります。 ただし現状では、使えたり、使えなかったりといった感じです。

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おわりに

Arduino IDEかぁ、、となっていた私ですがようやく希望の光が見えてきました。 まだまだ不安定な挙動もみられますが、今後のArduino Pro IDEのアップデートに期待したいと思います。

ご興味があれば早速お試しください!

変更履歴

日付 変更者 変更内容
2020/5/29 mnakai 作成
2020/10/16 mnakai v0.1.0、v0.1.2について追記
2021/01/06 mnakai v0.1.3について追記